滋賀県内で活動する団体に、コープしがが活動資金を助成します。

できるコトづくり制度

滋賀県内で活動する団体に、コープしがが活動資金を助成します。

2025.07.24

活動報告

「80年されど80年 ~語り継ぎたい記憶を未来へ~」戦争体験を語り継ぐ会

2025年7月21日、海の日の午後に長浜市のさざなみタウンで、戦争体験を語り継ぐ会の「紙芝居で伝える平和の願い。 7歳の記憶」の公演に伺いました。この活動は、できるコトづくり制度の活動助成1年目の一環です。
 
会場はさざなみタウンです。長浜まちづくりセンター、市立長浜図書館、地域福祉センター、ながはま市民協働センターが集まる「ながはま文化福祉プラザ」の1階の中央にあるフリースペースを使います。壁がない2階まで吹き抜けの場所なので、立ち寄る人も皆さん注目してくれます。
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす 体験談パネル展示 
 
公演が始まるまでに、壁を利用した展示も見ることができました。
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす 展示会場 
 
戦争体験を語り継ぐ会の土川まどかさんが聞き取りをされ、まとめて出版された『あの日を忘れない 語り継ぎたい戦争の記憶』(サンライズ出版 2019年)からの抜粋したものなどを、パネルにしてあります。
絵もついているので、とてもイメージしやすい構成です。
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす パネルアップ 
  
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす 紙芝居会場の案内パネル 
 
そのうち、時間となり、会場に行ってみると、直前にNHKでの紹介や、新聞での紹介があったこともあり、多くの方がおいでになっていました。予定の2時になると、戦争体験を語り継ぐ会の代表、河毛貞子さんからごあいさつと、この会の趣旨やメンバー紹介などがありました。
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす 会代表の河毛さんのごあいさつ 
 
続いて、コープしが北地区運営事務局 中澤事務局長からもできるコトづくり制度についてと、7月31日にコープながはま店で行われる「いのち*たいせつカフェ ~平和ってなんだろう~」にて、戦争体験を語り継ぐ会の紙芝居公演が行われることの紹介がありました。コラボでの公演は、助成金だけではない、できるコトづくり制度助成の「つながり」という支援が形になったものと言えるかもしれません。(このイベントの参加受付は既に締め切っています)
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす コープしが北地区運営事務局 中澤事務局長あいさつ 
 
さて、いよいよ紙芝居「7歳の記憶」の始まりです。戦争体験を語り継ぐ会のメンバーである平綱厚子さん(現在86歳)の昭和20年8月15日終戦までの体験を、ご本人の絵で紙芝居にまとめたものですが、実物はスケッチブックほどの大きさで、見えにくいため、スクリーンに拡大してみてもらうのです。
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす 絵本を朗読する平綱厚子さん 
 
愛知県に住んでいた「あっちゃん」は、空襲がひどくなったため、父の親戚のいる長浜市浅井町まで疎開します。そして8月15日を疎開先で迎えました。
愛知県では艦載機の機銃掃射で撃たれた人が亡くなったこともあり、空襲警報のたびに自宅に掘った防空壕に避難していたこと、疎開先へはお父さんが大八車を引いて夜中だけ移動したことなど、絵とお話でとてもリアルに伝わってきます。
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす 焼夷弾で燃える街を逃げまどう人の場面に説明が差し込まれている 
 
更に、紙芝居の絵に、スクリーンでは用語説明や年月日など、補足情報も差し込まれます。
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす 千人針のさらしをおなかに巻くスタッフ 
 
また、千人針を再現した実物を掲げて身に着けて見せるなど、子どもたちでも実感を持ちやすく工夫されていました。
なによりも平綱さんが感情を乗せて語られるので、主人公「あっちゃん」のお話に、ぐいぐいと引き込まれ、あっという間に終わりました。
 
今回は新聞を見て、「あっちゃん」と同級生の方のおつれあいが来られ、紙芝居が終わったあとに会場からコメントを下さり、当時子どもだった記憶をお話されました。来場の高齢者の方の体験談が聞ける、ライブ感もありました。
 
公演の終了後は、市内の虎姫高校新聞部の生徒たちが「あっちゃん」こと平綱さんにインタビュー取材を行いました。
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす 講演後、高校新聞部からのインタビューを受ける「あっちゃん」 
 
高校生「戦争でいちばん怖かったのは何でしたか?」
平綱さん「毎日爆弾が落ちたのも怖かった。でも、一番怖かったのは、食べ物がなかったこと。最初は配給で米にむぎが混ざっていたけど、そのうち、とうもろこしを絞った油を燃料にして戦争に使って、そのとうもろこしの絞りカスが私たちに配給されたの。後は食べるものがなかった。ある日なんて10粒のエビ豆がご飯よ。それで終わり。考えられる?」
 
当時7歳だった平綱さんにとっての戦争が、生々しく伝わるお話がたくさん聞けました。どんな新聞記事ができあがるのでしょうか。この日は他に、新聞社1社の取材も入っていました。
 
河毛さんは「土川まどかさんの『あの日を忘れない 語り継ぎたい戦争の記憶』の出版をきっかけに、戦争体験を語り継ぐ会は2019年に発足しました。それから戦争体験の聞き取り、小中学校や自治体、高齢者施設などでの公演、ショッピングセンターなどでの展示を続けてきました。
冬の間は私たちが代読する形で小中学校を回ります。その時、子どもたちから『広島、長崎の原爆の話は聞いた。でも、ここ(長浜市)でも、そんなことがあったんだ。おばあちゃんの話は本当だったんだ。』『体験者がゼロになる前に、この体験を語り継がなければいけない。』という言葉が聞けました。こどもたちは、地元の人から地元の話を聞くことの大切さを感じてくれています。」
 
「今回使ったスクリーンとプロジェクターは、できるコトづくり制度の助成金で購入したものです。プロジェクターは小さくて持ち運びしやすく、とても助かっています。」と話してくださいました。
 
戦争体験を語り継ぐ会 活動のようす 会のパンフレット 
 
戦争は遠くで起きた昔話ではなく、地元でも実際にあったこと。それを、手作り紙芝居によって「体験」できる場。そんな場をこれからも続けることを、戦争体験を語り継ぐ会の皆さんに期待しています。
 
今年は新聞5社、テレビ局1社からの取材を受け紹介されたこともあり、予定よりも7回も多く公演(戦没者慰霊祭・自治会の人権学習・自治会のサロンなど非公開の会場)をすることになったそうです。
また、戦争体験を語り継ぐ会では、いっしょに活動する仲間も募集中です。
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◎2025年 「紙芝居で伝える平和への願い 7歳の記憶」公演予定 
8月19日(火)11時  アル・プラザ長浜
※予約不要。公演とお話は30分程度。
公演終了後は来場者に感想や意見を聞く時間あり
湖北の方だけでなく、どなたでもぜひご参加ください。
お問合せ:090-1138-0942(河毛)